Album 28 林田英子教室 十人十色 | なげいれ花十二ヶ月 2019/4


異形の花

4月に入ると武蔵鐙ムサシアブミ(左)、蝮草マムシグサ(中央・上)、雪餅草ユキモチソウ(中央・下)、浦島草ウラシマソウ(右)などのテンナンショウ属の仲間が登場してきます。
稽古場でも、数人の方がタイミングが合えばお持ちになります。これほどの姿ですから、1人称でいける以外、その日の稽古場でお相手探しとなると、思案します。



武蔵鐙・雪笹



<ますらをぶり>の武蔵鐙

蝮草・菫・烏野豌豆


<たをやめぶり>の雪餅草

浦島草・風鈴苧環  今年

この写真の浦島草は、ベランダで育てておられるとのこと。
「ベランダにこの人が居ると、薄暗くなった頃などは
ちょっと怖くないですか?」と思わず聞いてしまいました。
用心棒に一役かってくれているのかもしれません。
今年は可憐なピンクの風鈴苧環を嫁がせました。
浦島草の気持ちを聞いてみたいです。


浦島草・土筆  一昨年





八手・蛇苺

八手
 ヤツデ

普段見かける常緑の低木。
八つの手が人を招くとされ、縁起がいい庭木として植えられています。
←左の八手を見た時
歳月によるその尋常でない変貌のさまに、とても驚きました。
からだは歪み、冷え枯れ、ここまでの極みに至った一つの凄さ…
人間のの「老い」に重ねて見てしまいます。

数年前、お稽古におもちになったものです。
自邸のお庭や畑、その周辺を探して、<珍しいごちそう>の花をお持ちになります。
聞けば
稽古後はもう、翌月にもっていく「花」探しの模索が始まっているとのこと。
遠方より通っていらっしゃるのですが、
お教室にお見えになるのは いつも 開始前一番乗りの方です。

(器は中世の仏器)


八角連 ハッカクレン  ↓



八角連は、ツヤツヤとして厚みがある大きな葉形。深紅の花も魅力的です。
おばあさまが培われたお庭から<花のごちそう>をお持ちになります。
溌溂としたご本人を映したかのような
すくすくのびやかに育った草木花を、毎回連れてみえます。




最後は<異形>の独特の空気を転じて、春の名残りの軽みある花を


松・二輪草・風鈴苧環



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