「草木花をいける・稽古帖」 自費出版にあたって
林田教室・受講生の皆さんへ
●
このたび、なげいれ花十二ヶ月・林田英子教室の一つの区切りとして、これまでに教室の稽古で行なってきた「花」を1冊の本にまとめるに至りました。花をいけ直してはカメラを手持ちで2〜3点撮影、また直ぐに次の花の直しへ…撮影点数は2万点に至りました。毎回の稽古の花の一つ一つを丁寧に手直しし、<花拝見>の際の一瞬の清々しさを心の内に落としていく有りようですので、あとは毎週ホームページで見て頂く以外に、お稽古の花を本にするなど一度も思うことはありませんでした。
2017年の新年から、ホームページの「アルバム四季・十人十色」を始め、その作業の中で「過去の花」を遡り見るうちに、長く稽古を続けておられる皆さん、又、これから始めてみようと思われる新しい方に向けて、多くが手探りで進むしかない「なげいれの花」を、何らかの形でまとめてお見せすることがあってもいいかもしれないと思い始めました。最初は、簡単にフォトブックとして<教室用>と<花長さんの店頭用>に2冊作る考えでいました。そうしましたら1 年前、「稽古帖として本にしたらいいんじゃないか」と師にボンと背中を押され、熟考の末、自費出版に踏み切りました。
教室では、自然の草木花をいけ「花になった!」それを、私は<作品>と捉えることはありません。花をいけることは、「すき!美しい!」の思いを起点に、美に昇華させる<捧げる>行為と思っており、それは「花なるもの…」の気配に出合いたい-と願い祈ることに通じます。その至るに遠い<気配>への道を何十年未だ止められず、求め続けています。思い返すと、自身
稽古十年程経った40代のとき、「ようやっと<なげいれの花>の門前に立てた…この門を潜りこれからがはじまり…」と思ったことを、今もはっきり覚えています。
稽古場では「花」を通して、生徒の皆さんを感じ、想い、十人十色の稽古をしてまいりました。「心の花」のなげいれは、その方の生きてこられた足跡や心持ちが表れると思っております。ゆえに花と向き合う中で、美と出合う喜びと共に、花に映しだされる自分に出合い、気付き、自己を見つめ、思考して、精進し続けることが「稽古の大事」と思っています。
生徒の皆さんの心の提出を待ち続けています。そして「草木花をいける」この稽古帖が、少しでもお役に立てば幸いです。 2018年 12月 林田英子
|