Album 38 林田英子教室 十人十色なげいれ稽古帖 20199-10-11


[ 薄 四季一生 ]

2020 薄・野葡萄 | 曽呂利

檜・薄・上臈杜鵑草・令法 | 古瀬戸破れ瓶子 鎌倉時代  


薄・女郎花・笹  8.24

 | 白磁花入 黒田泰蔵

薄のこと

8月下旬の秋草の稽古から薄を使い始めます。毎年思うことですが
花長さんがご用意してくださる<美しい薄>無くしては、
日本の秋の風趣をいけることは適わない-くらいに薄は重要事項です。
茎の細さ、弧を描く葉の綺麗さ、穂の様々な表情、
全てが吟味されての薄です。



薄・狗尾草 10.4



 
晩秋の薄
秋の草木は、人の晩年にあたります。
「秋の花は泣けてくるほどに-心入れ深く」と。師の教えです。


夏は、茎も葉も細い<糸薄>を、涼やかさを与える名脇役として用いますが
<薄>の花穂が開き、天高く生い立つ秋たけなわには、薄は主役の時を迎えます。
深秋、薄の葉が鮮やかな黄や深紅に色づいたものは、実に美しいものです。
そして、厳冬に立ち枯れて佇む<枯れ尾花>。
いずれの季も趣深く、「草」の王者と言われる所以を、いけるごとに感じます。


花梨・薄・蓮の果托  10.19

末枯れ薄 11.2

 
今秋、お稽古でご用意した薄を上手に末枯れさせて、11月の「晩秋」の稽古にお持ちになりました。
末枯れは草木花の「いのちの終の姿」です。美しい姿に成るには、人間と同じくなかなかに難しいものです。
 


一   松・白菊に末枯れ薄   11.17


   一叢ひとむらの末枯れ薄  11.16




末枯れゆく草木の詩情

蓮の葉・葦

 

隈笹・椎・烏瓜 

茶の木・鬼灯・薄 | 須恵器 平瓶 

稲・縞 | 須恵器 平瓶


(C)2012 林田英子 なげいれ花十二ヶ月 教室 All rights reserved