Album 43 | 林田英子教室 | 十人十色 なげいれ花十二ヶ月 | 2019/12月 |
「 稲 」のこと O.yasuko さんのお話 ↓(下写真 )ご自分で今年育ててお持ちになった<稲>です。 稲を束ねた紐。こちらもご自身が<葛>から生成された<葛苧くずお>とのことです。 きれいに束ねられた稲束から手に伝わる感触は温かく、神聖なものを手にする心持ちになりました。 それはそれは美しい稲でした。俗な手を加えることは憚れました。 そのまま、そのまま…荘りたくく思いました。 草木花と向き合う時には、その真性にインスパイアされること大事です。 稲をお持ちになったのは、神職に携わる方でした。 「花拝見」の後は稲穂の束をほどき、クラスメートの皆さんに「どうぞ」と分けてくださいました。 令和元年収穫の稲穂は、それぞれの方の心に届いたと思います。 |
![]() 早苗 | 古銅蔵耳花入 2013.5 ![]() 稲穂|2020.10 ※こちらはSさん。田舎から届いた稲をお持ちになりました。 |
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![]() 稲穂・白玉椿| 2019.11 (↑ Oさんの稽古時の花) |
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稲をお持ちになった O さんのお話 『稲を育てるにあたり、昔ながらの手作業稲作りを学ぶため 地元の自然保存会に参加して、田おこしからお手伝いし、 種を蒔き、そこで育てた苗を自宅に持ち帰って ポリ容器に移して育てました。』→ (写真3点 O さん提供) 育てる-いける |
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葛苧|葛布
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Oさんから伺った一冊の本のご紹介。 別冊 太陽 「日本の布 原始布探訪」 監修 北村哲郎 写真 藤森 武 (古書・平成元年 発行) |
この本は、二千年来変わることのない技法で伝わる古代布の探訪録です。各地の葛布、藤布、榀布、太布、大麻布、苧麻布、芭蕉布、それら作業工程の一つ一つの写真は、1977~1989に亘っての取材写真。作業に従事するく人々の働く姿の美しさに感動しました。 ※以下、「原始布探訪」 巻頭・見出しから 『まだ、木綿や絹がこの世につくりだされる遥かむかしから、わたしたち祖先は山野に自生する草や木の皮から糸を紡ぎ、布を織りだしていた。樹木の堅い皮を剥ぐ力仕事にはじまって、寝ずの番で皮の繊維を煮たり、寒中の水にさらしたり、野良仕事で硬くなった指先で、細くしなやかな糸に紡ぎ、機を織る-辛苦で根気のいるこの作業は、ずべて女たちがやってきた。(略)』 |
✿ 葛をいける → ![]() 葛の花 2019.8 稽古場でも、「 葛 」をお持ちになります。 葛は葉も大きく、茎も硬く奔放な線なので 姿を安定させる為のバランスを 上手くとりながらいけます。 |
![]() 葛の葉・鬼灯・烏瓜 2018.11 K.yukiさん |
![]() 葛の葉と蔓 | 須恵器高坏 2016.11 S.makotoさん |
![]() K.yukiさん |
「 棉 」 をいける —1 (左と中央 I .michieさんの稽古時の花) | ||
![]() 棉 2019.8.24 | 古銅花入 |
![]() 棉 ・ 雄山火口 2019.9.21 | 備前瓢形花入 金重晃介 作 |
![]() 棉・宿り木 2013.12 | 弥生土器 |
種から育てて、開花(夏)→青い実(秋)→白い綿とそれぞれの時季にお持ちになって棉をいけられる I さん。 『棉はその時々に魅力的で、夏から初冬まで楽しむことが出来ます。花材として育てるのであれば、間隔を詰めてプランターで育てた方が大きくなり過ぎず、扱い易いサイズになると思います。一番右の写真は、10月の台風19号で倒れてしまったものを来年の種用に刈り取って吊るしている状態です。』とのこと。 I さんは、10年以上お稽古を続けておられる方で花育が暮らしに根付いておられるご様子。嬉しく思っています。 そのほかに<挿し木>もいろいろ試みておられ当然のことながら成功もあれば失敗もありで、お庭には育たなかった鉢に園芸用のラベルがまるで墓標のように立っているそうです。 稽古場では12月に花材として棉をご用意しますが、その綿の中に種があるので、それを蒔くことで棉を育てられます。 難しく考えず、まずは種を蒔いてみては-と話しています。 |
![]() 色づく葉も魅力的です。 |
![]() 緑色の実。そして真白な綿が! |
(写真3点 I さん提供)![]() |
「 棉 」 をいける —2 |
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棉・梅の古木 | 中国白磁壺 2017 樹皮が大きく剥がれた古木と棉。 |
棉・寒菊 | 曽呂利 2017 自然にほどけた棉の中に、種が透けて見えます。 |
棉・水仙 | 曽呂利 2019 水仙の別名は雪中花。開き始めの初な水仙を足元に。 |
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